穀雨 葭始生
穀雨は二十四節気の第六番目。この日から次の節気の立夏前日までとなります。すべての穀物を潤す春の雨である穀雨は田畑を潤し、穀物は生長始める時季です。
また、葭始生は葭が芽を出し始める時期です。葦は河川の下流域や干潟に生育する植物です。多数の茎が水中に並び立ち多くの水生動物の住みかや隠れ家になり、浄化作用も持っています。葦簀(よしず)や茅葺き屋根の材料として使われるなど人間の生活にも深く関わりのある植物です。
写真は根津美術館の特別展・尾形光琳の「燕子花図屏風」(国宝)を鑑賞したあと、庭園の散策で撮った松の新芽です。松葉の間から鉛筆のように真っ直ぐ伸びています。この新芽を季語では「若緑」。傍題に「松の緑」「松の芯」「緑立つ」「初緑」があります。その先端に出た赤いのが雌花。付け根にたくさんの黄色い雄花が見られるようになります。誠に変わった松の花の出現となります。来月には庭園にも燕子花が咲くことでしょう。
天心へこぞりて伸ぶる松の芯 扇木
buds of pine
all growing up
to the sky
志松にもありて松の芯 鷹羽狩行